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新大統領、誕生!

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    前回に続き、今回もイタリアの大統領についてのお話です。

    辞任した前ナポリターノ大統領に代わって、2015年1月31日に新大統領が決まりました。
    第12代イタリア共和国大統領は、セルジョ・マッタレッラ(Sergio Mattarella)氏。

                 

    シチリアの州都、パレルモ出身のマッタレッラ新大統領は、
    1980年当時シチリア州知事をしていた実の兄ピエールサンティ・マッタレッラを
    マフィア(イタリア語ではコーザ・ノストラと呼ぶ)によって殺害されたという悲しい
    ファミリーヒストリーの持ち主です。

    政界入り後は着実に力をつけ、中道左派の推進者の中心となって現在の民主党の前身
    である「ルリーボ(L'ulivo)」結成にも大きな役割を果たしました。
    イタリア政界は多数の党が林立し、今日の見方が明日の敵といった変遷めまぐるしい
    世界です。イタリア在住中もいろいろなリーダーが登場したり消えたりの繰り返しで、
    何が何だか私にはよくわかりませんでした。

    そんな中、混乱の政界でエネルギッシュにリーダーシップを発揮して頑張るのは
    過去最年少で首相の座についた民主党のレンツィ(Matteo Renzi)。

     フィレンツェ市長を経て40歳の若さで首相に任命されたレンツィ氏

    このレンツィ首相の強力な推薦を受けて、4回目の投票で1009票中665票
    を獲得して、マッタレッラ大統領が選出されたという訳です。

    RAIニュースでは、大統領就任前の最後の日曜日をローマの町中散歩や家族との団らんで
    くつろいで過ごすマッタレッラ氏の様子を報じていました。
    2月3日の調印式を経て、正式に第12代大統領が誕生しました。

    これまでに文部大臣、国防大臣を歴任し直前までイタリア共和国憲法裁判所判事という
    経歴の持ち主です。
    若いレンツィ首相と共にイタリアを良い意味で革新社会へ導いていってほしいと思います。

    それにしても驚いたのは、ナポリターノ前大統領。
    マッタレッラ新大統領がナポリターノ氏を表敬訪問した映像を見たらなんと、
    急におじいさんになっていました。やはり89歳の高齢での大統領職は相当の
    重責だったのだなぁ、と改めて感じました。後任も決まった今はどうぞ心身共に
    くつろいでまったりと暮らしていってください、と節に思った次第です。

     

    さようなら、ナポリターノ大統領

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      2015年1月14日正午、ナポリターノ大統領が官邸であるクイリナーレ宮殿を後にしました。



      89歳の高齢で、任務をこれ以上続けるのは体力的に限界、と新聞にありましたが、
      一国の元首として大きな責任を負いながら大統領職を遂行することは、私たちの想像を
      はるかに超えるハードワークだったと容易に想像できます。
      8年6か月の大統領職、本当にお疲れ様でした、と心から拍手を送りたいです。
      尚、歴代の大統領で再選されて2期目に入ったのはナポリターノ大統領が初めて、また初の
      共産党出身の大統領でもありました。

      イタリアの大統領任期は7年で、国会議員などが選出するしくみです。
      私がイタリアに滞在している14年間で、大統領は2回変わり3人の国家元首をTVで見ました。

      最初は第9代大統領スカルファロ(Oscar Luigi Scalfaro 1992-1999)、
      白髪での温厚そうな、「好々爺」という言葉がぴったりの方でした。



      続いて第10代大統領チャンピ(Carlo Azeglio Ciampi 1999-2006)、
      元々はイタリア銀行総裁の要職を長く務めた経済の専門家で、
      その手腕を買われ首相を経験した後大統領に選ばれました。
      前任のスカルファロとは雰囲気も全く違い、
      個人的には、大手企業の会長風のまだまだ現役バリバリの政治家、という認識で
      好きでも嫌いでもない、といった漠然とした印象しかありません。





      そして第11代大統領であったナポリターノ(Giorgio Napolitano 2006-2015)です。
      私が「最も大統領らしい」と思うのは今回辞任したナポリターノ氏です。


      全身に漂う気品あふれる風格、
      知性と教養に満ちた言葉遣いや話し方、
      威厳と寛容を兼ね備えた風貌、
      そして何より、遠い遠い存在なのに近寄りがたさとは正反対の
      なぜか好感を抱かせ、不思議なほど人を惹きつける魅力。
      私にとっては、このナポリターノ大統領こそ
      ヨーロッパの上流階級の紳士の理想像」でした。
      大統領という肩書がこれ程ぴったりの人はいないとさえ思ってしまいます。

      ローマで親交があった友人の娘さんが、ナポリターノ大統領のお孫さんにピアノを教えていました。
      発表会の日、大統領としてではなく、かわいい孫の晴れ舞台をみる一人の祖父として会場に姿を現し、
      ごく普通に他の父兄家族に混じって演奏を聴いていらしたそうです。
      そんな大統領がいたら本当に素敵ですね。


      ところでイタリアの大統領はいつ頃生まれたのでしょうか?
      他のヨーロッパ諸国に後れを取り、1961年にようやくイタリア統一がなされて
      近代的イタリア王国が誕生すると、国王であるサヴォイア王家が国家元首として君臨します。
      しかし、第二次大戦後にサヴォイア家が国外追放処分になり、王政に代わって現在の共和制
      敷かれることになりました。ここに初めて共和国元首として大統領が選出されることになり、
      1948年に初代大統領エンリコ・デ・ニコラ(Enrico De Nicola)が誕生します。

      イタリアの大統領は、国民の象徴的存在なので、フランスやアメリカのように
      国内国際情勢を最前線で指揮するわけではありません。その意味では、日本の
      天皇やイギリスのエリザベス女王の立ち位置に非常に近いとも言えます。

         
      2009 就任直後ローマのクイリナーレ宮殿でオバマ大統領と        2011 バッキンガム宮殿でエリザベス女王と夫人と

      ただ、議会解散権や首相任命権などの他、憲法に違反すると思われる法律にはサインしない、
      国政にアドバイスを与えることができる、など一定の国政関与も可能で、
      日本でもお馴染のベルルスコーニ元首相には何度か苦言を呈したそうです。




      それほど表舞台に登場することはありませんから、
      国外にその動向や映像が伝えられることは余り多くないのですが、
      イタリアでは大晦日の晩の恒例行事がテレビを通じての大統領のお話です。



      官邸の執務室で立派な椅子に腰かけたスーツ姿の大統領が、イタリア三色旗を背景に
      静かでありながらそれでいて力強い、来る年への希望を抱かせるようなメッセージを
      国民に向かって格調高く語り掛ける映像を見ると、「ああ、今年も1年が終わったなぁ。」と
      実感したものでした。


      今回引退したナポリターノ氏はなんと20歳でイタリア共産党に入り、
      第二次大戦中は対独レジスタンス運動の活動家だったという熱い面もあったそうです。
      落ち着いたその風貌からはおよそ若い頃の過激な一面は想像しがたいのですが、
      誠実で真摯なまなざしの奥には人の心の奥の奥まで見抜くような、凛とした強さがあるのは
      そのせいか、と納得することしきり。

      名前から想像できる通り、彼はナポリの出身で名門ナポリ大学で法律を学んでいます。
      因みにイタリア語では、各都市の形容詞があり、
      例えばローマなら「ロマーノ romano」(女性形はロマーナ)、
      ミラノなら「ミラネーゼ milanese」、
      そしてナポリなら「ナポレターノ napoletano」(同ナポレターナ)と言います。
      皆さんよくご存知の『ナポリ民謡』は「ナポリの歌」ということになるので
      カンツォーネ・ナポレターナ canzone napoletana」となる訳です。
      大変紛らわしいのですが、大統領の場合はナポリターノ、「ナポリの」を意味するナポレターノでは
      ありませんのでご注意ください!でも気さくなお人柄だそうですから、「ナポリのジョルジョさん!
      (ジョルジョは大統領のファーストネーム)Giorgio napoletano」と呼ばれても
      きっと笑顔で振り向いてくれることでしょう!

      自宅はクイリナーレ官邸から徒歩で10分くらい、イタリア銀行の裏手にある
      via dei serpenti(蛇通り)。
      前大統領の帰省に地元は大歓迎ムードで盛り上がっているようです。
      皆さんもローマにいらした際は、ナポリターノ氏に会えるかもしれないモンティ地区のバールで
      コーヒーなど飲んでみませんか?!







       

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