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ヴェネツィアのカーニバル2015

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    2月17日は火曜日、2015年のカーニバルが最も盛り上がる最終日で
    肥沃な火曜日』(martedì grasso)と呼ばれています。

    カーニバルと聞くとすぐにブラジルはリオのカーニバルを思い浮かべる方も
    多いと思いますが、イタリアにもこれに匹敵するくらい世界中から観光客が
    集まって来る素晴らしいカーニバルがあります。

    一つは、フィレンツェから2時間弱ほど行った海沿いの街ヴィアレッジョViareggioが舞台で、
    巨大な人形で飾られた大きなだし車が街を練り歩く「ヴィアレッジョのカーニバル」。



    そしてもう一つが、仮面と絢爛豪華な衣装で着飾った人たちが広場や通りを埋め尽くす
    ヴェネツィアのカーニバル」です。



    お祭りパレードのことを「カーニバル」と呼ぶと思われている節もありますが、
    これは違います。実はキリスト教の復活祭と関係している宗教行事の一つで、
    復活祭前日までの46日間、お清めのために肉食を避ける「肉絶ち期間」(四旬節
    が始まる前に大いに食べて飲んで大騒ぎをしよう、ということから始まっています。
    カーニバルの日本語訳「謝肉祭」は、実によく考えられた言葉だと感心してしまいます。

    最初は1日だけだったのでしょうが、次第に日ごろの憂さ晴らしを兼ねて公に
    バカ騒ぎができる特別の期間として延長されていき、最長ではクリスマス直後から
    すぐにカーニバル期間に突入した、という記録もあるほどです。

    現在は公式のカーニバル期間は18日間と定められています。
    そしてクライマックスは何といっても四旬節スタートの水曜日(灰の水曜日)の前日
    にあたる「肥沃の火曜日」。お祭り騒ぎは各地で夜遅くまでまで繰り広げられます。

    今日ご紹介するのは、ヴェネツィアの幻想的であでやかな色彩のカーニバル風景です。








    カーニバルという言葉が初めて文献に登場するのは実に1094年。
    その後ヴェネツィアが地中海貿易で栄華を極めた15世紀ころには、国を挙げての
    大規模な行事に発展していきました。ところがその後経済的繁栄に翳りが射すと、
    今度は二度と戻らない過去の栄光をなぞるかのように、バカ騒ぎが目的の浮かれ気分の
    イベントになり下がります。
    どこか退廃的なムードが漂うその時代のカーニバルは、
    斜陽を直視したくないヴェネツィア人たちの現実逃避の場であり、
    消し去ることができない寂しさを紛らわす唯一の時間だったのかもしれません。



    一時途絶えていたヴェネツィアのカーニバルは1979年に再開。
    ヴェネツィアカーニヴァルの代名詞ともいえる
    仮面(イタリア語ではマスケラ〈maschera〉)』をつけて仮装した人たちが、
    狭い路地やサン・マルコ広場周辺を異空間に導きます。

    仮面は目の部分だけを覆うもの、顔全体を覆うもの、猫や鳥のくちばしから太陽や月など
    装飾的なものまで多種多様。

      

    また衣装も、ヴェネツィアの古き良き時代を偲ばせる貴族や裕福層に扮したものから、
    想像力を駆使した凝った作りのドレスまで、とにかく手が込んでいます。
    街中が人ごとアートになったような錯覚を覚えずにはいられません。

    今年2015年は、ミラノ博開催年ということもあり、例年にも増して
    バージョンアップしたイベントやパフォーマンスが登場したようです。

      
    まさに水上の音楽ともいえるピアニストのパフォーマンス

    仮面を付けると、たとえそれが目だけでも、誰だかすぐにはわからなくなるから不思議です。
    仮面という小道具によって、身分を隠し、時には身分を超え、普段の自分以外の何者かに
    なれること、それが仮装カーニバルの最大の魅力と言ってもいいでしょう。


    往時の人々も、こうして我を忘れて羽目を外してひと時の夢を楽しんだに違いありません。

    皆さんがヴェネツィアのカーニバルに行くと、貸衣装を簡単にレンタルできます。
    仮面も、エコノミーなものから高価なものまでお好みのものを買うことができます。
    見るだけではなく、参加しても楽しめるアクティブなカーニバルがヴェネツィアです。

         


    もし素晴らしい仮装をした人を見つけたら、気楽にカメラを向けてみてください。
    見せたくて来ている人ばかりですから、快く応じてくれるはずです。
    でも、ありがとうと言っても無言だからと言ってしょげる必要はありませんよ。
    実はヴェネツィアには有名な仮面コンテストがあり、コンテスト参加者は言葉を発しては
    ならない、というルールがあるのです。無言だからこそ、あの完璧な非現実世界が
    一層魅力的に見えるのかもしれません。





    面白いのは、ヴェネツィアカーニバル版美人コンテスト。
    その名も「マリアたちの祭」というありがたいもの。
    今年は誰がその栄冠を手にしたのでしょうか?



    こちらもすっかりお馴染になったスペクタクル、「天使の飛翔」。
    サン・マルコ大聖堂の横に建つ高さ97メートルの鐘楼の上から、サン・マルコ広場を挟んだ
    向い側にあるコッレール博物館が入る建物まで、ワイヤーで吊られた女性が広場を縦断して
    移動するという、スケールの大きい空中ショーです。

     
    地上約100Mからヴェネツィアを見下ろす天使役の女性

      間もなく地上に降り立つ天使を見守る人たち  

                            
     
      サン・マルコ広場に舞い散る紙吹雪 


    確かに怖そうだけれど、ヴェネツィアの素晴らしい景色と、
    自分一人を見つめるために広場を埋め尽くす観客を眼下にしながら
    地面に降り立つのはまさに「天使の心地」そのものかもしれませんね。

    カーニバルといったら、やはりこれなしでは過ごせません。
    小麦粉で作るいろいろな揚げ菓子です。



    これはヴェネツィアでは「キアッキエレchiacchiere」と呼ばれているもので、
    日本のかりんとうの生地を薄く延ばして揚げたような感じです。
    食感は極めて軽く、とてもサクサクしています。
    粉砂糖をたっぷり振りかけていただくのが定番です。
    同じものでも各地違った呼び名があり、ローマでは「フラッペfrappe」と呼んでいました。
    毎年この時期には必ず、2〜3回は買って食べていた懐かしい味です。

    こちらはもう一つの揚げ菓子、「フリッテッレfrittelle」。



    子供の頃、家で母が揚げてくれたようなシンプルなミニドーナツといったところでしょうか。
    イタリアのお菓子は概してどれも素朴で、決してお洒落ではありませんが、
    時々無性に食べたくなる懐かしさが潜んでいるから不思議です。

    「肥沃の火曜日」が終わり、いよいよ46日間の肉絶ち期間に突入、
    と思いきや、私の周りでその間肉を食べない、というイタリア人は一人もいませんでした。
    宗教心が薄らいできたせいか、はたまたカーニバルはもはや単なるお祭り化してしまったせいか・・・

    そうこうするうちに次の宗教イベント復活祭が、もう間もなくやってきます。
    春もそう遠くない、と思えてきます。

     

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